観葉植物が持つ神秘の力様々な働き
オフィスに潜む危険・・・
シックハウス症候群…家の新築やリフォーム直後、入居した際にツーンと鼻をつく臭いがします。これらの多くは放散しているホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性化学物質の臭気が原因で起こるもので、目やのどの痛み、頭痛、吐き気などの不快な症状のことをさします。
テクノストレス…パソコン画面を見る作業の増加に伴い現れる、目の疲れやドライアイ、肩凝りやめまい、どうき、息切れ、自律神経失調の症状やうつ気分などの事。現代のテクノロジーに適応しきれない不安、焦り、モニター画面の凝視などがストレスになったものをさします。
植物の力について
NASAが宇宙船内の生命維持システムを開発中に、植物が空気の清浄化に重要な働きをすることに気付き、その研究成果を公表したことから室内空間における植物の重要性が再認識されてきました。
最近では愛媛大学農学部の緑化環境工学研究室 仁科広重教授が様々な植物の効用をデータ化して注目を浴びています。
※NASA…《National Aeronautics and Space Administration》
アメリカ航空宇宙局の略称。一九五八年に設立された政府機関。全米に研究センターをもち、宇宙ステーションなどの開発を統括。本部はワシントン特別区にある。
植物の持つ主な6つの作用
空間内に観葉植物をおく事によって、様々な効果・効能を享受できるとされています。
空気浄化作業
植物はホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、アセトン等の有害物質を除去するだけでなく、フィトケミカル(植物が作り出す化学物質のこと)が、カビの胞子やバクテリアも抑制します。植物をたくさん置いた部屋が、植物を置かない部屋よりも50%~60%もカビ胞子やバクテリアが少なかったとする研究も紹介されています。
つまり観葉植物は二酸化炭素を吸収すると同時に、有害物質であるホルムアルデヒドなどを吸着分解して人に優しい空気を送り出す、優秀な空気浄化システムであると言えます。
マイナスイオン濃度上昇効果
マイナスイオンは副交感神経の働きを助け、心拍の安定、血圧を下げる効果、リラックス効果が一般的とされています。マイナスイオンは心の健康のみならず体の健康にたいへん良い働きをします。自然界でマイナスイオンが多く発生している場所といえば森林や滝の周辺で、プラスイオンの2倍~20倍以上の数値が観測されます。
逆にプラスイオン(+)は空気の汚れた場所、ちり・ホコリなどに多く残留し、都会ではマイナスイオンの数を大きく上回っています。室内ではテレビ、パソコンなどの電化製品から出るプラスイオンが、「イオンバランス」を崩し、慢性疲労・肩こり・腰痛・冷え性などの原因になっていると考えられています。
植物ではサンセベリアがマイナスイオンを多く発生するといわれていますが、それらに限らずすべての観葉植物にマイナスイオンを発生する効果があります。オフィスやビル内でも観葉植物をうまく配置することによって、まるで自然の中にいるような空間を作り出すことも可能です。
心理生理的効果
植物(花、香りを含む)が存在する事で気分をリラックスさせます。実験では脳から出るアルファ波を測定する事で判定されました。
アフリカのジャングルに祖先をもつ私達人間が、緑を見てリラックスするのは、遺伝子に組み込まれた当然の反応だとする学者もいます。この緑視率と"リラックス"の関係は、脳波のうち精神安定状態を示すアルファ波の研究によっても実証されつつあり、植物が目に入る環境では、アルファ波が増幅されるのです。その結果、血圧が低くなり筋肉の緊張がほぐれ、皮膚の電気抵抗が少なくなります。そして心拍数が減少すなわち"リラックス"してしまうのです。こうしたストレス低減作用は、一般に植物の持つ"心理的効果""生理的効果"と言われています。
視覚疲労緩和回復効果
パソコン画面を見る仕事をさせ植物のある場合と無い場合でフリッカー値が測定され、眼精疲労が小さいことが確かめられました。(点滅する光を見せ、どの周波数までちらついて見えるかを調べる実験方法)
植物を眺めると大脳皮質の活動が活発になり、視覚疲労を解消します。また緑色は長時間見ても疲れない色、つまり目を休めるのに適した色です。これは緑の光の波長が網膜に負担を掛けないからとされています。
黒板やビリヤード台など集中力が求められる場所が緑色にされているのはそのためなのです。また先の乾燥防止効果によりドライアイも軽減されるのも大きなポイントです。
温熱環境調節・快適性向上効果
植物の蒸散作用により水分を放散し快適な湿度にします。植物が放出する水分は完全な蒸留水なので加湿器のように水道水に含まれる水垢分まで振りまく事がありません。 植物は葉面から蒸散する水分が、夏は気化によって熱を奪うことにより気温上昇を抑え、冬は熱を放出して気温の低下を防ぎます(スプリンクラー効果)。
室内の相対湿度が乾燥状態の30%前後になると、目・鼻・喉などの粘膜に影響がではじめ、風邪や乾燥肌の原因に直結し、逆に60%以上の相対湿度はカビやダニが発生しやすくなり、アレルギー障害を引き起こしやすくなる事がわかっています。また戸外では、植物の有無によって気温が3~5℃も変化すると言われています(緑陰効果)。
健康物質フィトンチッド放出効果
フィトンチッドとは、樹木から発生している香り成分です。辞書で引いてみると、「樹木から放散されて周囲の微生物などを殺すはたらきをもつ物質。森林浴の効用の源とされる。」(大辞林より)とあります。つまり、森林浴で人が「心地よい」と感じる元になる物質がフィトンチッドです。
フィトンチッドはありとあらゆる植物から発生しています。特に香りの良いヒノキやハーブ、漢方薬等は実際に体感する事ができるので、わかりやすい例だと思います。
また、植物から抽出した樟脳やお茶などは、まさにフィトンチッドそのものの効能をダイレクトに利用しているものの一つと言えるでしょう。もちろん観葉植物からもフィトンチッドは発生しています。ハーブなどのように香りを直接体験することはできませんが、それでも十分な効果を期待できます。